「KYOTO MANGA FESTA 2007」の開催にあたって

 我が国初のマンガ文化の総合的拠点「京都国際マンガミュージアム」では、京都から世界に向けてマンガ文化を発信する取組の一環として、このたびマンガの祭典「KYOTO MANGA FESTA 2007」を開催いたします。

 我が国のマンガは国内のみならず、海外で幅広く受容され、高い評価を得るなど、世界をリードする立場にありますが、マンガ市場をビジネスチャンスととらえる中国や韓国をはじめとするアジア各国では、人材育成のための大学や専門学校を設置するなど、産業創出という観点から国策としての取組が進んでいます。また、新たな芸術文化としてだけではなく、生涯学習、文化創造、観光誘致、産業振興といった幅広い分野において多くの可能性を持ち、それらへの応用によって地域の活性化に大きく寄与することが明らかとなっています。

「KYOTO MANGA FESTA 2007」では、マンガという概念を単なるペーパーメディアにとどまることのない、マンガに関連する文化すべてを含む概念ととらえ、そのようなマンガと他の芸術とのコラボレーションをはじめ、マンガ文化の広がりを示す多彩なイベントやフォーラム等を開催し、子どもから大人まで、幅広い層の人々にマンガに親しみ、楽しんでいただきたいと考えています。

 海外では、フランスにおいて1974年から毎年開催されているヨーロッパ屈指の歴史と権威を備えたマンガの祭典「アングレーム国際マンガフェスティバル」をはじめ、街そのものを変革してしまうような大規模で活気のあるマンガの祭典が行われています。本フェスタが将来的には、その開催期間は歴史と伝統に彩られたこの京都をマンガ一色に変えてしまうような国際的なマンガの祭典に発展していくことを目指していきたいと考えています。

 御来館の皆様におかれましては、本フェスタにご参加いただく中で、マンガが幅広い分野で活用され、新たな創造やエネルギーを生み出す力を内包していることを実感し、ますますマンガを身近なものとして感じていただければ幸いです。

 今後ともご愛顧をよろしくお願いします。

京都国際マンガミュージアム 館長  養老 孟司