終了しました 没後60年記念 「横井福次郎 戦後漫画のトップランナー」展

没後60年記念
「横井福次郎 戦後漫画のトップランナー」展

 京都国際マンガミュージアムでは、「セレクションギャラリー マンガ古今東西」として、特定のテーマを設定し、歴史的な作品から現代の人気作まで様々なマンガ作品をご紹介する企画展を展開しています。ギャラリー内では、日本マンガと海外マンガを紹介するゾーンに分けており、今回は、その日本マンガのゾーンにて、手塚治虫にも多大な影響を与えた空想科学漫画家・横井福次郎の没後60年を記念した展示を開催いたします。

 横井福次郎は1912年生まれ。1931年にデビューし、新進気鋭の子ども漫画家として、近藤日出造・横山隆一らの新漫画派集団に迎えられます。戦中には従軍や大病で執筆が中断しますが、終戦により言論・表現の自由を得て、水を得た魚のように横井は盛んに作品を発表、大人気を博します。その中でも、SF漫画「ふしぎな国のプッチャー」(『少年クラブ』1946~48年)や冒険漫画「ボックリ坊やの冒険」(『子供マンガ新聞』1946~48年)・『冒険ターザン』(1948年・光文社)などは、戦後マンガの旗手として頭角を表しつつあった手塚治虫にも多大な影響を与え、手塚の「メトロポリス」や「鉄腕アトム」のそこかしこに、横井の作品をふまえてのアイデアを散見することができます。

 しかし横井は、最高時で月35本の連載を抱えるという激務がたたってか、病魔に襲われ、1948年36歳の若さで早世します。そのためか、今となっては横井の名はひろく知られているとは言いがたいのですが、戦後復興期の日本にユニークな発想と美しい描線で読者を魅了し、来たるべき豊かな未来を垣間みせてくれた横井の業績は、現在の目から見てもなお独特の輝きを持っています。今回の展示は、昨年12月に横井の業績を詳細にたどった『戦後漫画のトップランナー 横井福次郎』(臨川書店)を上梓された清水勲氏(帝京平成大学教授・当館研究顧問)のプロデュースにより、横井の作品の魅力や手塚作品への影響について、終戦直後の貴重な漫画雑誌・単行本の現物に詳細な解説を加えつつご紹介いたします。また、企画展初日には清水勲氏による講演会を開催いたします。

開催期間

2008年2月2日(土)~5月18日(日)
※3月22日(土)までは最終入館時刻が午後5時30分です

会 場 京都国際マンガミュージアム 2階 ギャラリー1
入場料 無料  ※ミュージアムへの入場料は別途必要です
展示内容
戦後復興期の貴重な漫画雑誌・新聞・単行本など歴史資料約40点
横井家の家族写真や友人の漫画家たちとのスナップなど当時の貴重な写真10点
横井福次郎の経歴と「ふしぎな国のプッチャー」など主要作品の解説
「メトロポリス」など手塚治虫作品に見られる横井作品の影響の紹介 ほか
協 力 鈴木理夫、横井大侑、川崎市市民ミュージアム、
株式会社 臨川書店
記念講演会

「横井福次郎の創造世界」

講 師 清水勲氏 (帝京平成大学教授・当館研究顧問)
日 時 2008年2月2日(土) 午後1時~午後2時30分
会 場 京都国際マンガミュージアム 3階 研究室1
参加料 無料 ※ミュージアムへの入場料は別途必要です
定 員 50名(先着順、申し込み不要)
参 考 <清水勲氏プロフィール>
清水勲(しみず・いさお)1939年東京生まれ。漫画・諷刺画研究家。帝京平成大学教授・京都国際マンガミュージアム研究顧問。1982年、ジョルジュ・ビゴーの研究で第1回高橋邦太賞(現・日仏文化賞)受賞。1986年、長年の漫画史研究が認められ、第15回日本漫画家協会賞特別賞受賞。『漫画の歴史』(岩波書店)、『サザエさんの正体』(平凡社)、『大阪漫画史』(ニュートンプレス)、『年表 日本漫画史』(臨川書店)など著書多数。
<関連書籍>
清水 勲『ビジュアル文化シリーズ 戦後漫画のトップランナー 横井福次郎 -手塚治虫もひれ伏した天才漫画家の軌跡-
臨川書店、2007年12月、ISBN978-4-653-04015-6
税別2,700円