京都精華大学国際マンガ研究センター 第1回国際学術会議
世界のコミックスとコミックスの世界―グローバルなマンガ研究の可能性を開くために
出演者プロフィール
第1日目 2009年12月18日(金)
午後1時~4時
新世代国際ワークショップ
野田謙介 NODA Kensuke
マンガ研究家。仏和訳に、ティエリ・グルンステン著『マンガのシステム コマはなぜ物語になるのか』(青土社、2009年11月末発行予定)。企画・構成に、特集「世界のコミック大研究」(『ペン』2007年8月15日号、阪急コミュニケーションズ、2007年)。論文に、「コマ割りは「何を」割っているのか 翻訳者のノート」(『ユリイカ』2008年6月号、青土社、2008年)など。
ネラ・ノッパ Nele NOPPE
ベルギー・ルーヴェン・カトリック大学日本学科博士課程在籍、。日本と欧米の二次創作物における物語形式と視覚記号の比較研究。日本学科のLet's Manga研究所で、マンガ・同人誌の収集と翻訳、さらにマンガを使用する教材作成などに携わる。
http://www.nelenoppe.net/fanficforensics/
パトリック・W・ガルバレス Patrick W. GALBRAIT
東京大学大学院情報学環・学際情報学府博士課程在籍、日本マンガ学会会員。資本主義と消費の変化がオタク文化へ及ぼす影響の研究。2004年以来、東京秋葉原で民族誌的調査を実行。著書に、The Otaku Encyclopedia: An Insiders Guide to the Subculture of Cool Japan, Kodansha International, 2009.、Moe: Exploring Virtual Potential in Late-stage Capitalist Japan, Electronic Journal of Contemporary Japanese Studies , 2009など。
雑賀忠宏 SAIKA Tadahiro
神戸大学大学院人文学研究科学術推進研究員、日本マンガ学会会員。文化社会学、文化生産論。論文に、「マンガ生産の文化――社会的関係としてのマンガ生産が孕む『過剰さ』の意味」(大野道邦・小川伸彦編『文化の社会学――記憶・メディア・身体』、文理閣、2009年)、「文化生産における『創造性』概念をめぐって----ロマン主義的創造性イデオロギーの機能」(『社会学雑誌』第24号、神戸大学社会学研究会、2007年)など。
猪俣紀子 INOMATA Noriko
バンド・デシネ研究者、翻訳家、「くらしき絵本館」代表、日本マンガ学会会員。パリにあるEHESS(社会科学高等研究所)で修士号を取得。現在、マンガとバンド・デシネの流通システムを研究テーマに博士論文を執筆中。論文に、「フランスの若者における日本アニメ・マンガの受容」(『マンガ研究』3号、日本マンガ学会、2003年)など。日本マンガ学会のニューズレターでバンド・デシネに関する記事シリーズを連載中。仏和訳に、ルイス・トロンダイム作・ジョゼ・パロンド画『ピエールとジャンヌのパパ!お話しして!』(くらしき絵本館、2008年)。
鈴木繁 CJ SUZUKI
LeHigh University Bethlehem, Pennsylvania客員教授。2008年にカリフォルニア州立大学サンタクルズ校博士号(文学)取得。近代日本文学・映画、日米比較文学論、サイエンス・フィクション、マンガ/コミックス研究。「情報化社会における身体」および「非政治的な政治風刺映画: チーム・アメリカ☆ワールド・ポリス」(『9・11とアメリカ:映画にみる現代社会と文化』鳳書房、2008年)、Nakazawa Keiji, Barefoot Gen: A Cartoon Story of Hiroshima, Socialist Studies: The Journal of the Society for Socialist Studies. Vol.5 no.1, 2009。
ジャクリーヌ・ベルント Jaqueline BERNDT ■司会
京都精華大学マンガ学部教授、国際マンガ研究センター副センター長、日本マンガ学会理事。芸術学、マンガ/コミックスの美学、近現代日本美術、アニメ論。著書に、Phanomen Manga. Comic-Kultur in Japan[マンガという現象ー日本におけるコミックス文化], Berlin, 1995.(スペイン語版El Fenomeno Manga,
1996.)、共著に、『マン美研』(醍醐書房、2002年)、Reading Manga , Leipzig, 2006.(Steffi Richterとの共編著)など。
http://berndt.ehoh.net/index.ja.html
午後5時~7時
基調講演
ティエリ・グルンステン Thierry GROENSTEEN
コミックス理論家、フランス国立マンガ研究センター「CIBDI」元センター長、『Les Cahiers de la bande
dessinee』誌および『九番目の芸術』誌(CNBDI紀要)元編集者。『線が顔になるとき--バンドデシネとグラフィックアート』(古永真一訳、人文書院、2008年)、『マンガのシステム コマはなぜ物語になるのか』(野田謙介訳、青土社、2009年11月末発行予定)、L'univers des manga[日本マンガの宇宙]Casterman, 1991.など。
http://www.editionsdelan2.com/groensteen/
森田直子 MORITA Naoko ■コメンテーター
東北大学大学院情報科学研究科准教授、日本マンガ学会会員。テキストと図像の相関関係についての研究 、文学理論 、フランス語教育。「ロドルフ・テプフェールの「版画物語」理論:『フェステュス博士』の自己翻案をめぐって」(『Nord-Est』第1号、日本フランス語フランス文学会東北支部会、2009年)、Une lectrice des Thibault en bande dessinee - Kiiroi Hon (1999) de TAKANO Fumiko≫(『Ebisu』35号、2006年春・夏。
吉村和真 YOSHIMURA Kazuma ■司会
京都精華大学マンガ学部准教授、京都国際マンガミュージアム研究統括室長、日本マンガ学会理事。思想史・まんが研究。『「はだしのゲン」がいた風景――マンガ・戦争・記憶』(福間良明との共編著、梓出版社、2006年)、編『マンガの教科書――マンガの歴史がわかる60話』(編共著、臨川書店、2008年)、)『差別と向き合うマンガたち』(田中聡・表智之との共著、臨川書店、2007年)など。
第2日目 2009年12月19日(土)
午前10時15分~午後0時30分
セッション1:少女マンガ,女性コミックス~ジェンダーとジャンルをめぐって
トリナ・ロビンス Trina Robbins
女性コミックス史研究家、コミックス作家。1960年代後半から、アンダーグラウンドコミックスのムーヴメントに参加する。1970年に、初の女性だけによるコミックス誌『It Ain't Me, Babe』を発行、1972年には、『Wimmen's Comix Collective』 誌(1972-1992年)の創設にも関わる。研究書に、Women and the Comics, 1985、A Century of Women Cartoonists , 1993、From Girls to Grrrlz: A History of Women's Comics from Teens to Zines, 1999、The Great Women Cartoonists, 2001、The Brinkley Girls: The Best of Nell Brinkley's Cartoons From 1913-1940 , 2009など。
溝口彰子 MIZOGUCHI Akiko
法政大学、明治学院大学、多摩美術大学、共立女子大学での非常勤講師。博士。ビジュアル&カルチュラル・スタディーズ、クィア理論、表象理論、ジェンダー論、映画論、美術史。「それは、誰の、どんな、『リアル』? ヤオイの言説空間を整理するこころみ」(『イメージ&ジェンダー』第4号、彩樹社、2003年)、「妄想力のポテンシャル:レズビアン・フェミニスト・ジャンルとしてのヤオイ」(『ユリイカ 腐女子マンガ大系』青土社、2007年)、Male-Male Romance by and for Women in Japan: A History of Yaoi Fictions, The US-Japan Women's Journal, no.24, 2003など。ヤオイや映画についての論考、レズビアン・アクティヴィストとしてのエッセイ多数。
ウェンディ・ウォン 黄少儀 Wendy Siuyi WONG
トロント・ヨーク大学芸術学部デザイン学科准教授。博士。グラフィック・デザインと広告、コミックスを含む香港・中国視覚文化史研究。展覧会の企画に、「チャイニーズ・デザイン展」。著書に、Hong Kong Comics: A History of Manhua, New York,2002、An Illustrated History of 13-Dot Cartoon: The Work of Lee Wai Chun, Hong Kong, 2003.(中国語、Lee Wai Chunとの共著)、An Illustrated History of Hong Kong Comics, Hong Kong, 1999(中国語、Yeung Wai-pongとの共著)など。
伊藤公雄 ITO Kimio
京都大学文学部教授、日本マンガ学会会員。文化社会学、メデイア研究、ジェンダー論、イタリア社会研究。ポピュラーカルチャーやメディアを対象に、社会意識や政治意識における支配・従属および抵抗・妥協・調整の構図を論考。『<男らしさ>のゆくえ 男性文化の文化社会学』(新曜社、1993年)、『ジェンダーの社会学』(新訂、放送大学教育振興会、2008年)、『マンガの中の<他者>』(編共著、臨川書店、2008年)など。
大城房美 OGI Fusami ■司会
筑紫女学園大学文学部准教授、日本マンガ学会会員。女性コミックス研究。ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校比較文化専攻、2001年博士号取得。副専攻は女性学。論文に、Gender Insubordination in Japanese Comics (Manga) for Girls, John Lent ed., Illustrating Asia, University of Hawaii Press, 1999、Barefoot Gen and Maus: Performing the Masculine, Reconstructing the Mother, Jaqueline Berndt & Steffi Richter eds, Reading Manga, Leipzig University, 2006、「『冬のソナタ』と日本の女性文化」(『イメージ&ジェンダー』第9号、イメージ&ジェンダー研究会、2009年)など。
午後2時~4時30分
セッション2:グローバル化における越境とマンガ研究
パスカル・ルフェーブル Pascal LEFEVRE
コミックス史家、ベルギー・ブリュッセル芸術大学助教授。博士。Pour une lecture moderne de la bande dessinee [バンド・デシネのモダンな読みのために]、Brussels 1993(Jan Baetensとの共著)、The Construction of Space in Comics, Heer, Jeet & Worcester, Kenton, eds., A Comics Studies Reader, University Press of
Mississippi 2008、「日本マンガにおける『演出』と『フレーミング』」(X・エベールとの共著・野田謙介訳、『ユリイカ』2008年6月号、青土社、2008年)など。
http://lefevre.pascal.googlepages.com/
夏目房之介 NATSUME Fusanosuke
学習院大学大学院人文科学研究科身体表象文化学専攻教授。1972年マンガ家デビュー。現在マンガ・コラムニストとしてマンガ、イラスト、エッセイ、講演、TV番組などで活躍中。夏目漱石の孫。『手塚治虫はどこにいる』(筑摩書房、1993年)、『マンガの読み方』(共著、宝島社、1995年)など。
http://blogs.itmedia.co.jp/natsume//bprofile.html
小田切博 ODAGIRI Hiroshi
アメリカン・コミックス研究家、ライター。『戦争はいかにマンガを変えるか』(NTT出版、2007年)、『別冊 本とコンピュータ6 アメリカンコミックス最前線』(共編著、トランスアート、2003年)、「『クールジャパン』と『MANGA』」(『ユリイカ』2008年6月号、青土社。2006年)など。
http://wiredvision.jp/blog/odagiri/
クリスティーナ・プラカ Christina PLAKA
日本マンガのスタイルで人気の、ドイツのマンガ家。単行本化された作品に、Prussian Blue (2003年)、Yonen Buzz (2005年~、全4巻)、Herrscher aller Welten (2009年)。
http://www.goethe.de/
kue/lit/prj/com/pcm/cmp/jaindex.htm
ジャクリーヌ・ベルント Jaqueline BERNDT ■司会
京都精華大学マンガ学部教授、国際マンガ研究センター副センター長、日本マンガ学会理事。芸術学、マンガ/コミックスの美学、近現代日本美術、アニメ論。著書に、Phanomen Manga. Comic-Kultur in Japan[マンガという現象ー日本におけるコミックス文化], Berlin, 1995.(スペイン語版El Fenomeno Manga,
1996.)、共著に、『マン美研』(醍醐書房、2002年)、Reading Manga , Leipzig, 2006.(Steffi Richterとの共編著)など。
http://berndt.ehoh.net/index.ja.html
第3日目 2009年12月20日(日)
午前10時30分~午後0時15分
セッション3:マンガと社会
チェンジュ・リム LIM Cheng Tju
コミックス研究家、シンガポールの中学校教師。カルチュラル・スタディーズ、アジア近代史。『International Journal of Comic Art』編集者。論文に、Chop Suey: Cartoons about the Japanese Occupation and National Education in Singapore, International Journal of Comic Art, vol.6 no.2, 2004、など。
トーマス・ベッカー Thomas BECKER
ベルリン自由大学文学部美術史学科助教授・特別研究員(「美的経験と芸術の越境」)。博士。芸術社会学、カルチュラル・スタディーズ、コミックス研究、美学。現在、ブルデユーの文化社会学の視点から北米とフランスでの「コミックス作家の文化資本」をめぐる調査研究を実施中。論文に、Genealogie der autobiografischen Graphic Novel. Zur feldsoziologischen Analyse intermedialer Strategien gegen asthetische Normalisierungen [自伝的グラフィック・ノベルの系譜:美的統合に対するインターメディア戦略のフィールド論的社会学をめぐって], Stephan Ditschke et.al. eds, Comics: Zur Geschichte und Theorie eines popularkulturellen Mediums, Bielefeld: transcript, 2009。
山中千恵 YAMANAKA Chie
仁愛大学人間学部コミュニケーション学科講師、日本マンガ学会会員。社会学専攻。韓国をフィールドとしたマンガ文化の研究、ポピュラー文化体験が作り出す記憶とナショナリズムに関する研究。著書に、「ドラゴンボールと出会った韓国」(伊藤公雄編『マンガの中の<他者>』臨川書店、2008年)、『ポスト韓流のメディア社会学』(石田佐恵子・木村幹との共編著、ミネルヴァ書房、2007年)、「読まれえない『体験』・越境できない『記憶』―韓国における『はだしのゲン』の受容をめぐって―」(吉村和真・福間良明編『はだしのゲンのいた風景――マンガ・戦争・記憶』(梓出版、2006年)など。
雑賀忠宏 SAIKA Tadahiro
神戸大学大学院人文学研究科学術推進研究員、日本マンガ学会会員。文化社会学、文化生産論。論文に、「マンガ生産の文化――社会的関係としてのマンガ生産が孕む『過剰さ』の意味」(大野道邦・小川伸彦編『文化の社会学――記憶・メディア・身体』、文理閣、2009年)、「文化生産における『創造性』概念をめぐって----ロマン主義的創造性イデオロギーの機能」(『社会学雑誌』第24号、神戸大学社会学研究会、2007年)など。
午後1時30分~4時15分
ワークショップ:公的記憶,私的消費 『はだしのゲン』を出発点に
ケース・リベンス Kees RIBBENS
オランダ王立科学アカデミー戦争記録研究所研究員。博士(近代史)。ポピュラー歴史文化と共同記憶、コミックス史、第2次世界大戦研究。『European Comic Art』誌編集員。Getekende tijd. Wisselwerking tussen geschiedenis en strips [描かれた時代:歴史とコミックスとの相互関係をめぐって],Utrecht/Rotterdam 2006.(Rik Sandersとの共著)など。
トーマス・ラマール Thomas LAMARRE
カナダ・モントリオールのマギル大学教授、『メカデミィア』編集委員。博士。日本文化史、映像論、オタクに見られる資本主義とファンカルチャー、動物寓話から見たメディア発達論。The Anime Machine: A Media Theory of Animation, University of Minnesota Press(2009年11月発行予定)、「トラウマから生まれて 『AKIRA』と資本主義的な破壊様式」(余田真也訳、『新現実』第4号、角川書店、 2007年)、座談会「世界の中の、戦時下のおたく」(『新現実』第4号、角川書店、2007年)など。
川口隆行 KAWAGUCHI Takayuki
広島大学大学院教育学研究科国語文化教育学講座准教授。博士。日本近現代文学、文化史研究、とりわけ原爆、戦争に関する文学・文化表象の研究、戦後文化運動の研究、植民地と言語の問題に関する研究。『台湾・沖縄・韓国で日本語は何をしたのか――言語支配のもたらすもの』(共編著、三元社、2007年)、『日本語在台湾・韓国・沖縄做了什麼 ?』(共編著、致良出版社、台湾、2008年)、『原爆文学という問題領域(プロブレマティーク)』(創言社、2008年)など。
加治屋健司 KAJIYA Kenji
広島市立大学芸術学部准教授。美術史。アメリカと日本を中心とした近現代美術史・美術批評史。論文に、「『対幻想』としてのカラー・フィールド」(『マーク・ロスコ』、淡交社、2009年)、「日本におけるアジアの現代美術と近代の亡霊」(『Count 10 Before You Say Asia: Asian Art after Postmodernism』国際交流基金、2009年)など。
福間良明 FUKUMA Yoshiaki ■司会
立命館大学産業社会学部准教授。歴史社会学、メディア史。『「反戦」のメディア史――戦後日本における世論と輿論の拮抗』(世界思想社、2006年)、『「はだしのゲン」がいた風景――マンガ・戦争・記憶』(吉村和真との共編著、梓出版社、2006年)、『「戦争体験」の戦後史――世代・教養・イデオロギー』(中央公論社、2009年)など。