映画『TATSUMI マンガに革命を起こした男』全国公開記念トークショー
〈劇画工房〉と初期劇画の時代~同時代を生きた作家が語る~
映画『TATSU M I』より © ZHAO WEI FILMS
子供のための読み物から今日のような多様な表現ジャンルへの転換点を示すものとして、マンガの歴史のなかでも重要な1ページである「劇画」の誕生。その名付け親となったのが、マンガ家・辰巳ヨシヒロ氏と、彼が関西の貸本マンガ家仲間とともに旗揚げしたグループ〈劇画工房〉でした。とりわけ辰巳作品はフランスをはじめとして海外からも高い評価を受けており、その作品世界に魅せられたシンガポールの映画監督エリック・クー氏によって、2011年には映画『TATSUMI』が制作・公開されています。
この映画『TATSUMI』(邦題:『TATSUMI マンガに革命を起こした男』)の日本での全国公開と京都での上映(於京都シネマ 2015年1月17日から公開)を受け、京都国際マンガミュージアムでは、下元克己氏(代表作「快男児ゴリ一平」「ゴキブリ」)・巴里夫氏(代表作「ごきげんシリーズ」「5年ひばり組」)という二人の作家をゲストとして迎えたトークショーを開催いたします。
辰巳ヨシヒロ氏をはじめとする〈劇画家〉たちが貸本や商業誌のなかで新たなマンガのありかたを切り拓いていった時代とその作品について、マンガ研究家のF・M ロッカー氏を聞き役としつつ、同じ時代を描き手として、また読み手として駆け抜けてきた視点から、50年代末から60年代にかけての当時の劇画界の熱気や、〈劇画工房〉メンバーをはじめとする様々な劇画家たちの肖像とその作品について語っていただきます。
日時 | 2015年1月18日(日) 午後2時~5時 |
会場 | 京都国際マンガミュージアム 3階 研究室1 |
料金 | 無料 ※ミュージアムへの入場料は別途必要です |
出演者 |
下元克己 氏(マンガ家) 巴里夫 氏(マンガ家) F・M ロッカー 氏(マンガ研究家) |
定員 | 50名(先着順) |
参加方法 | 事前申込不要 |
主催:京都国際マンガミュージアム/京都精華大学国際マンガ研究センター/京都シネマ
関連事業
映画『TATSU M I』より © ZHAO WEI FILMS
辰巳ヨシヒロ氏の自伝的マンガ「劇画漂流」を含む複数の作品をオムニバス形式でアニメーション化した 映画『TATSUMI マンガに革命を起こした男』が京都シネマにて上映されます。
上映館 |
京都シネマ 京都市下京区烏丸通四条下る西側 「COCON烏丸」3F |
上映期間 |
2015年1月17日(土)~ |
映画上映に関するお問い合わせ先 京都シネマ TEL:075-353-4723
下元克己(しももと・かつみ)
はじめは「下元勝己」名義、のち「下元克己」の筆名のもと、大阪のめばえ書房や名古屋のセントラル出版、さらに東考社・東京トップ社などの貸本短編誌・単行本で活躍。青春ものを中心としたその作品は躍動感溢れる絵で高い人気を博した。60年代後半からは少年マンガ誌にも進出し、貸本マンガ時代からのキャラクターを主役に据えた「快男児ゴリ一平」を1968年から『週刊少年マガジン』に掲載したのち、『月刊少年マガジン』掲載の「ゴキブリ」、『少年キング』掲載の「トリプルパンチ」といった作品を執筆。また、辰巳ヨシヒロをはじめとする劇画家たちや現代マンガ図書館館長の故・内記稔夫など、さまざまなマンガ関係者との交流を続けていることでも知られる。
『孤独の狼』(東京トップ社刊)扉絵 © 下元克己
巴里夫(ともえ・さとお)
1950年代半ばから貸本マンガで活躍、当初は「いそじましげじ」の筆名で大阪の日の丸文庫から作品を発表。1956年の上京を機に筆名を改め、東京の若木書房から「ごきげんシリーズ」と題して作品を次々と発表。大人気を博し、明るい学園生活そのものを得意とする作風を確立した。貸本マンガの衰退後、60年代半ばから少女マンガ誌に活躍の場を移し、1965年に『りぼん』で「さよなら三角」を発表。その後、長く『りぼん』の看板作家として活躍、「5年ひばり組」などの学園ものでヒットを飛ばす一方、痛切な戦争ものも多く手がけている。
『5年ひばり組』(巴里夫プロダクション刊)1巻表紙 © 巴里夫・巴里夫プロダクション
F・Mロッカー(えふ・えむ・ろっかー)
マンガ研究家。マンガ研究誌『ビランジ』誌上で、戦後まもなくからのマンガの歩みと時代ごとの状況を克明に伝える「雑誌『少年』とそのライバルたち」を連載中。また、森下文化センターで開催されたマンガ・劇画をめぐる講座では、ちばてつや・平田弘史・江波じょうじ・バロン吉元といった様々なマンガ家たちのトークの聞き手役を務める。