戦前・戦後関西マンガ界を支えたマンガ家師弟を紹介する展覧会
きゅうほしちま
小寺鳩甫と酒井七馬
たからじま
~『大阪パック』から「新寶島」まで~
京都国際マンガミュージアムではこの度、戦前・戦後にかけ、関西のマンガ界を支えたマンガ家・小寺鳩甫(1889~1962)とその弟子・酒井七馬(1905~1969)を紹介する企画展「小寺鳩甫と酒井七馬~『大阪パック』から「新寶島」まで~」を、下記の通り開催します。
本展では、二人のマンガ家の仕事を紹介しつつ、大阪-関西がマンガ史の中で果たした大きな役割について知っていただきます。
期間 | 2016年9月8日(木)~11月
◇開館時間:午前10時~午後6時(最終入館は午後5時30分)
◇休館日:毎週水曜日、10/9 |
会場 | 京都国際マンガミュージアム 2階 ギャラリー4 |
料金 | 無料 ※ミュージアムへの入場料は別途必要です ※11/4は「関西文化の日」につきミュージアム入場料無料 |
主催:京都国際マンガミュージアム
京都精華大学国際マンガ研究センター
共催:大阪府立中央図書館国際児童文学館
協力:中野晴行/渡辺泰/伊丹市立美術館
内容
大阪府立中央図書館国際児童文学館と国際マンガ研究センター/京都国際マンガミュージアムが共同で企画し、2015年度に大阪府立中央図書館で開催された「関西マンガ界の伝説 酒井七馬とその時代」展をベースに、最近発見された鳩甫の資料を加えた展示として再構成された展覧会となっています。
小寺鳩甫・主筆『大阪パック』
第24年第18号、1929年
酒井七馬「魔人境」『漫画空想天国』
三島書房、1949年
兵庫県伊丹市在住だった鳩甫は、大正末以降、マンガ史において重要な位置を占めているマンガジャーナル誌『大阪パック』の主筆マンガ家として、関西を中心に活動します。その弟子である七馬は、鳩甫にマンガの手ほどきを受け、子ども向けマンガや紙芝居など、大阪を中心に様々なメディアで活躍しました。戦後には、その後のストーリーマンガに大きな影響を与える手塚治虫「新寶島」の原作を手がけたことでも知られています。
本展では、ふたりの足跡を、当時の貴重な資料と展示しつつ、解説していきます。
出展品(一部)
- 小寺鳩甫・主筆『大阪パック』(大正・昭和初期)
- 小寺鳩甫、酒井七馬による民主主義啓蒙ポスター(1940年代)
- 酒井七馬、手塚治虫ほかによるマンガアンソロジー本『漫画空想天国』(1949年)
- 小寺鳩甫(熱田十茶)、酒井七馬による紙芝居(原画)(1950年代)
- 七馬が鳩甫に送った絵葉書(原画)
- 大野きよし、西田静ニほか七馬と同時代に関西で活躍した作家のマンガ本など
関連イベント
トークイベント
酒井七馬というマンガ家が大阪にいた。
展覧会開催を記念して、七馬の"最後の弟子"であるマンガ家・柳たかを氏と、同展のベースとなっている『謎のマンガ家・酒井七馬伝』の著者でマンガ研究者の中野晴行氏をお招きし、七馬の実像に迫ります。
日時 | 2016年10月23日(日)午後2時~午後4時 |
会場 | 京都国際マンガミュージアム 3階 研究室1(予定) |
出演者 | 柳たかを(マンガ家) 中野晴行(マンガ研究者) |
料金 | 無料 ※ミュージアムへの入場料は別途必要です |
定員 | 50名(先着順) |
参加方法 | 事前申込不要 |
紙芝居実演
本展では、戦後における鳩甫(熱田十茶名義)と七馬(佐久良五郎名義)の仕事として、ふたりの紙芝居作品も展示されます。これを記念して、ふたりの作品を含む紙芝居の実演イベントを開催。演じるのは、当時ふたりが紙芝居作品を提供していた紙芝居屋さん「三邑会(さんゆうかい)」の名を継ぎ、紙芝居文化の継承に努めている「一般社団法人塩崎おとぎ紙芝居博物館」の紙芝居師たちです。
日時 | ①2016年 9月10日(土) 午後1時~/午後3時~ ②2016年 9月25日(日) 午後1時~/午後3時~ ③2016年10月 2日(日) 午後1時~/午後3時~ ④2016年10月23日(日) 午後1時~/午後3時~ ※各回約40分程度 |
会場 | 京都国際マンガミュージアム 2階 紙芝居小屋(ギャラリー5) |
実演者 | 大塚珠代(紙芝居師)、古山千賀子(同)、古橋理絵(同) |
料金 | 無料 ※ミュージアムへの入場料は別途必要です |
定員 | 50名(先着順) |
参加方法 | 事前申込不要 |
小寺鳩甫(こてら・きゅうほ)
1889(明治22)年~1962(昭和37)年。大阪市生まれ。16歳から南画の辻村秋峰に師事するが、のちにマンガの世界に。秋峰が朝日新聞大阪本社の学芸部長を務めていたことから、『週刊朝日』や『コドモアサヒ』に生活マンガなどを発表。明治39年に発行され、昭和25年まで続いた長寿マンガ誌『大阪パック』では、時事問題や風俗世相をマンガで描いた「漫画入り川柳」を担当。大正14年~昭和13年には同誌の主筆として、一人ですべての絵を描いた。子どもマンガや紙芝居(「熱田十茶」名義)の作家としても活躍。兵庫県伊丹市に居をかまえ、終の棲家とした。
酒井七馬(さかい・しちま)
1905(明治38)年~1969(昭和44)年。大阪市生まれ。大正時代後半、『大阪パック』を編集していた鳩甫に師事し、諷刺マンガ家として世に出た後、揺籃期のアニメーション映画界で活躍。1947年、大阪で、若き手塚治虫との合作「新寶島」を出版。藤子不二雄や石丿森章太郎はじめ、後に日本のマンガ界をリードしていくことになるマンガ家たちに多大な影響を与えた。出版会の中心が東京に移った後も大阪にとどまり、マンガと紙芝居の世界で活躍しつつ、在阪マンガ家のための組織づくりや後進の育成に熱心に関わった。
伊丹市立美術館「小寺鳩甫展(仮)」について
本展の協力者である伊丹市立美術館では、当展と連動する形で、小寺鳩甫の原画作品を中心とする展覧会を開催します。
詳しくはこちら
会場 | 伊丹市立美術館 |
開催期間 | 2016年11月12日(土)~12月18日(日) 午前10時~午後6時(最終入館は午後5時30分) |
※同展会期中、マンガミュージアムの入館チケットの半券をお持ちの方は、割引料金にて伊丹市立美術館に入館いただけます。
問い合わせ 伊丹市立美術館(電話072-772-7447)