京都国際マンガミュージアムについて

京都国際マンガミュージアム館長
養老 孟司

マンガはサブカルチャーだという考え方もありますが、日本文化の中では実に大きな役割を演じています。世界に広がる日本のマンガ文化が持つ表現要素は、我が国の平安時代の絵巻物等に既に表わされており、まさに京都という伝統文化の息づく町にマンガミュージアムができることは、たいへん意義のあることと言えます。

マンガ家になりたい、マンガ文化を学びたいと思っている人たちにとって、この京都国際マンガミュージアムが、何かある座標軸を示すものになればよいと考えています。

大切なことは、ミュージアムをいかに活用するかということであり、今後いろいろな活動を行っていく中で、どのようなことができるのか考えて行きたいと思います。皆様の広い意味でのバックアップをぜひともお願い致します。

どうぞよろしく。

養老孟司 (ようろう・たけし) 
東京大学名誉教授・解剖学者。昭和12年11月11日、神奈川県生まれ。昭和37年東京大学医学部卒業。昭和56年東京大学医学部教授就任、平成元年著書『からだの見方』(筑摩書房)でサントリー学芸賞を受賞。平成7年に東京大学を退官し、翌8年から15年まで北里大学教授。『唯脳論』『バカの壁』など多数の著書があり、脳科学者の立場から人間社会の様々な事象を脳の機能や仕組みと結びつけて評論している。『バカの壁』(新潮社)は、平成15年のベストセラー第1位になり、同年度の毎日出版文化賞特別賞と流行語大賞を受賞。その他、テレビ出演や講演会など幅広く活躍している。