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少女マンガの世界 原画'(ダッシュ) 京都展 京都国際マンガミュージアムでは、世界に通用する日本マンガの魅力を可能な限りありのままの形で後世に伝えるため、極めて原画作品に近い複製<原画'(ダッシュ)>を作成するプロジェクトを進めてまいりました。 原画'(ダッシュ)とは、コンピューターに原画を取り込んで色調整を重ね印刷された、原画と並べても見分けのつかない程精巧に作られたマンガ原稿の複製です。マンガ「風と木の詩」「地球(テラ)へ…」などの作者で、京都精華大学マンガ学部教授の竹宮惠子氏を中心に研究・開発されてきたもので、退色の危険のあるマンガ原画の保存と公開を両立させるために生み出されました。そしてこれを活用した「原画破損・紛失の恐れがない展覧会」を積極的に開催してきました。 このたび、これまでの研究・制作の成果を広く伝え、今後のプロジェクトの一層の充実を図るために、標記特別展を下記のとおり開催いたします。 マンガに限らず、当然ながら原画は世界に一枚しか存在しません。しかし、日本のマンガが国際的な関心を集め、その資料的価値が内外で見直されつつある近年、原画の資料収集や海外展示への出品を願う声も増えてきました。複製とは言えども、原画本来の色合いや下書き段階の様子も含め、「もう一枚の原画」とも呼べるクオリティを備えた<原画'(ダッシュ)>は、そうした声に応えることのできる存在といえます。 今回は、世界でもここまで花開いた例はないと言われる「少女マンガ」の<原画'(ダッシュ)>たち、とりわけ黎明期の少女マンガを支えた作家の作品を展示いたします。それぞれの作家がその精巧さを認めた<原画'(ダッシュ)>を通して、華麗なる「少女マンガの世界」をお楽しみください。
昭和30年代~40年代の少女マンガ黎明期から活躍されている著名作家を中心に、漫画家の原画を借用して作成された<原画'(ダッシュ)>作品約200点と、各作家についての解説パネル等で構成。黎明期から変革期まで、少女マンガ史を総覧する形で、著名作家の<原画'(ダッシュ)>作品が勢ぞろいします。出品作家の主な単行本も設置し、手にとって読んでいただけます。 |
あすな ひろし
東京都出身。1961年、『少女クラブ』お正月臨時増刊号掲載の「まぼろしの騎手」でデビュー。様々なジャンルで多彩な作品を発表し、1972年度小学館漫画賞受賞作「走れ!ボロ」など少女マンガ作品も多数。2001年没。
お詫びして訂正いたします。
今村 洋子 (いまむら・ようこ)
東京都出身。1952年、父の今村つとむ名義で貸本漫画『子豚のラッパ』を発表しデビュー。少年少女の日常生活を、元気でテンポのよいストーリーで描いて人気を博す。1965年、「ハッスルゆうちゃん」で講談社児童まんが賞受賞。
上田 としこ (うえだ・としこ)
東京都出身。戦前は新聞社などで活動。戦後、絵物語や漫画を手がけ、1951年『少女ブック』掲載の「ぼくちゃん」で注目を集める。「フイチンさん」(1959年度小学館漫画賞)など、のびやかな作風と明るい主人公で人気が高い。
上原 きみ子 (うえはら・きみこ)
岐阜県出身。1965年、貸本漫画『黒コスモスの花言葉』(金田君子名義)でデビューした後、1968年から『週刊少女コミック』など少女誌で活躍。1980年から『小学一年生』で「まりちゃんシリーズ」を手がけ、1989年度小学館漫画賞を受賞。
北島 洋子 (きたじま・ようこ)
東京都出身。1961年、『少女クラブ増刊』掲載の「氷の城」でデビュー。1960年代後半には『りぼん』を代表する作家として活躍し、「スィートラーラ」(1967 ~ 69年)など、少女の憧れを誘う作品で人気を博す。
佐藤 史生 (さとう・しお)
宮城県出身。1977年、『別冊少女コミック』掲載の「恋は味なもの!?」でデビュー。『プチフラワー』連載の「夢みる惑星」(1980 ~ 84年)など、壮大で本格的なSF作品を得意とする。
高橋 真琴 (たかはし・まこと)
大阪府出身。1950年代半ばから赤本・貸本漫画で活躍。1957年からは『少女』など雑誌に舞台を移し、「プチ・ラ」などを連載。抒情画も多数手がけ、雑誌の表紙や文房具などを通じて少女文化の全体に大きな影響を与えた。
竹宮 惠子 (たけみや・けいこ)
徳島県出身。1967年『COM』月例新人賞佳作入選を経て、翌年『週刊マーガレット増刊』掲載の「りんごの罪」で本格デビュー。「花の24年組」の一人として新世代の少女マンガをリードし、1979年度に「風と木の詩」「地球へ…」での2作品で小学館漫画賞受賞。
巴 里夫 (ともえ・さとお)
大分県出身。1950年代半ばから貸本漫画で活躍し「ごきげんシリーズ」などで人気を博す。1965年から『りぼん』に舞台を移し、学校の日常生活を描いた「5年ひばり組」(1965 ~ 69年)などを連載し大ヒット。
水野 英子 (みずの・ひでこ)
山口県出身。『少女クラブ』で1955年デビュー。赤塚不二夫・石森章太郎ら「トキワ荘グループ」唯一の女性作家としても知られ、「ファイヤー!」で1969年度小学館漫画賞を受賞するなどヒット作多数。
わたなべ まさこ
東京都出身。挿絵画家を経て、1952年より渡辺雅子名義で赤本・貸本漫画を発表、1957年より少女誌に舞台を移し、『週刊マーガレット』連載の「ガラスの城」で1970年度小学館漫画賞を受賞。少女マンガからレディスコミックまで幅広く活躍を続ける。
会場の[見どころ] 紹介
[見どころ その1] 約200点もの原画'(ダッシュ)作品を一堂に展示するのは今回が初
[見どころ その2] 各作家のマンガ本が自由に読めるコーナーもあります
[見どころ その3] 原画'(ダッシュ)の制作工程をムービーで初公開
[見どころ その4] 過去に開催した原画'(ダッシュ)展での座談会の様子を一部上映。必見です!
出品作家によるトークショーを開催し、ご自身の創作についてお話いただきます。
今村 洋子 氏 北島 洋子 氏 竹宮 惠子 氏 巴 里夫 氏 ※わたなべまさこ氏は都合によりご欠席です。 | |
日 時 | 2007年12月9日(日) 午後2時~4時 |
会 場 | 京都国際マンガミュージアム 1階 多目的映像ホール |
聴講料 | 無料 |
定 員 | 250名、申込不要、先着順
※手話通訳が必要な場合は、12月1日(土)までにお問い合わせください。 |
【お詫び】
2008年1月にも開催を予定しておりましたトークショーですが、出演者のスケジュール調整がつかないため、中止とさせていただきます。開催を楽しみにお待ちいただいていた皆様には残念なお知らせとなってしまい、大変申し訳ございませんでした。
| 2007年12月 14日(金)・15日(土)・16日(日) 各日 午後2時~5時 |
| 今回の出品作家である高橋真琴氏の原画が、2007年12月13日(木)~29日(土)に「高橋真琴工房展」として展示されます。それに伴い、上記3日間のみ同展会場内にアトリエを特設。ご本人による作画過程を実際にご覧いただけます。 |