マンガ家インタビュー

7.『まんが入門』について

[インタビュアー:先生はかつて、『まんが入門』(華書房、1954年)という本を描かれている。]

これはオレがまだ全然売れてないときにね、頼みに来てね[笑]。華書房っていうところなんだけど。本人がそんなに描けないのに……
この間、岡崎へ行ったら、イズミさんという人がですね、その『マンガ入門』っていう本を繰り返し繰り返し何回も読んだよって[笑]。
今はあんまりないんだけど、マンガの入門書ってね、結構当時あったんだ。石ノ森にもありますよね。これは劇画の入門書みたいなものですけど。
ぼくは、自分は大して描けないのに、その『まんが入門』を描いてくれっていうのがきちゃって。その頃は何がきても引き受けるんで、描いたんだけど、本人がマンガ家になってないのに……
中には何回もその本を読み返したっていう人が[笑]。
もうお恥ずかしい。……本当にお恥ずかしい[笑]。

(2006年6月28日やなせスタジオにて インタビュー・構成:イトウユウ)

■やなせたかしプロフィール

1919年、高知県生まれ。東京高等工芸学校図案科卒業。高知新聞社、三越宣伝部を経て、 1953年より独立。1973年に最初の「あんぱんまん」が絵本で登場、1988年、日本テレビ系で 「それいけ!アンパンマン」としてアニメ化。1990年、勲四等瑞宝章受賞。一九九五年、日本漫画家協会文部大臣賞受賞。 現在、日本漫画家協会理事長。



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