開催趣旨
この「オンライン展覧会」は、2020年以降、毎年開催している「マンガ・パンデミックWeb展」の第4弾となるものです。
本展は、世界中で蔓延し続ける新型コロナウイルス感染症に人類がどのように向き合ってきたのかをテーマに、マンガの自由自在な表現力と国際的な拡張力を活用し、オンライン上で作品を応募・展示するというプロジェクトです。
過去3回の公募において、累計123ヵ国・地域の累計601組から計2459作品が寄せられました。これらは、1コママンガからストーリーマンガまで多岐にわたり、感染症対策のあり方をはじめ、さまざまな国・地域の政治や文化の違いを明らかにし、「新しい日常」を笑いや諷刺とともに目に見える形で表現してくれました。
日本では、2023年4月に法改正され、新型コロナウイルス感染症は「新型インフルエンザ等感染症」と同等に位置づけられました。これにより、さまざまな規制が緩和され、コロナ禍は解消したかのような日常が戻りつつありますが、決して感染者が減っているわけではありません。
そこで、第4回目となる今回も、引き続き「パンデミック」というテーマでマンガ作品を募集したいと思います。
加えて、今年も昨年同様、「平和」をテーマにした作品を募集します。
この場合の「平和」とは、「戦争の不存在」ではなく、「暴力の不存在」という近年の平和学が採用している定義を指しています。ここでいう「暴力」とは「人間能力の全面開花を阻害する原因」(飢餓・貧困・社会的差別・人権抑圧・環境破壊・医療や教育や福祉の遅れなど)を意味しています。そう、「暴力」は「どこか特殊な世界」ではなく「私たちの日常」の中に、さまざまな形で存在しているのです。
新型コロナウイルス感染症もまた、そうした「暴力」を世界的に蔓延させているかもしれないという懸念が、そもそもの「マンガ・パンデミックWeb展」の設定でした。ところが、昨年、まさしく直接的な暴力行為である「戦争」が目の前で繰り広げられる事態となりました。そこで、「平和」をもう一つのテーマに加えることとしました。
「パンデミック」と「戦争」という、世界史上の事件であり、人類の課題に対し、その只中を生きる人々の姿や変化の様を克明に記録することは、のちに歴史を振り返るうえで重要です。マンガはそのために適した表現であり人類史の有用な史料となり得ることを、私たちは確信しています。このオンライン展覧会を通じ、マンガの可能性を一人でも多くの方々と共に追究していけたらと思っています。
なお、例年通り、反人権的な表現になっていないか、特定の個人や国家を誹謗していないかといった、作品の採否の判断は主催者の責任で行いますが、みなさんの自由闊達かつ独創的な発想による多彩な作品を楽しみにしています。
また、このオンライン展覧会は、作品を展示する「ギャラリー」であると同時に「作品データベース」でもあります。私たち実行委員会が「例外的な商業利用」と判断する場合でない限り、マンガ文化の普及のためにも、今後もさまざまな展示等で無償活用することを、何卒あらかじめご了承ください。
最後に、今回も国籍や世代はもちろんのこと、プロ・アマ問わず、世界中のどなたでも応募可能です。ぜひあなたも、この機会に「マンガ熱」を込めた作品をお寄せください。主催者一同、心よりお待ちしています。
マンガ・パンデミックWeb展2023実行委員会
しりあがり寿による「お手本」
[ 変異 ]パンデミック 2023.10.3
[ 日常 ]パンデミック 2023.10.3
[ 4年目のコロナ ]パンデミック 2023.10.3
[ そなえよ!! ]パンデミック 2023.10.3
[ パトロンの事情 ]平和 2023.10.3
[ 国旗 ]平和 2023.10.3
[ あけてはいけないもの ]平和 2023.10.3
[ 巨大ブラックホール ]平和 2023.10.3
[ 平和 ]平和 2023.10.3
[ 人類の限界? ]平和 2023.10.3
(安斎科学・平和研究所/立命館大学国際平和ミュージアム/京都精華大学国際マンガ研究センター/京都国際マンガミュージアム)
展示アドバイザー:しりあがり寿(マンガ家)/安齋肇(イラストレーター)
ロゴデザイン:安齋肇/坂本志保
イラスト:しりあがり寿