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《連載ぶろぐ》アラマタ館長のパオ~な日々[第3回目]「館長は今日も掘っている」

宝を探して蔵の中、掘ってェ、掘って、また掘オ~ッテ、
今日はどこまで掘ったやら……。
エ? なに掘ってるかって?
もちろん地下の倉庫に山と積んである、ふるーいマンガ本だ。
いってみれば、マンガの墓場からゾンビをよみがえらせるみたいな!
ほっとけば、このままだれの目にもふれないで朽ち果ててしまうから。
…ということで、館長は毎日、ミュージアムの地下にある「忘れられたマンガ蔵」を捜索しまくっている。これも、埋もれたマンガの救済なんです。
館長室にはいつもカンチョーさんがいないけど、どこかでサボってるんじゃないの、と疑っている方もいるらしいけど、大きな誤解ですよ。
たとえばですね、みつけましたよ、今から50年前に出たマンガを一冊。主人公の少年探偵のファッションがすごすぎて、感動してしまいました。そのころは、背広を着てネクタイをしめ、革靴をはいた子、なんてのは、どこかのお坊ちゃまです。こういう子は、ヘアスタイルはゼッタイ横分けの長髪で、半ズボンなんかもはかないでしょう。ところがこの少年探偵さんは違います。頭はくりくり坊主で、下は半ズボンですものね!
背広のお坊ちゃまが、なにを間違えたか、あたまクリクリの半ズボンという超アンバランス。戦争終わって、まだ貧しかった日本人にとって、せめてものカッコよさだったんでしょうかねえ。泣けました。
かと思えば、怪獣ブームだった昭和40年代に「オリジナル怪獣シリーズ」っていう、「漫画界ただ一つの創作大怪獣」ばっかりが出てくるマンガ本がありました。一億年前そのまま、あたまが二つ、尾も二つある「大蛇ジャメラ」、落盤事故で地底に閉じ込められた男が恐竜になってしまう「人間怪獣トラコドン」、水分を吸収すると、どんどんふくれて大きくなる「怪獣サタンゴ」、身長70メートル、体重2万トンもある「怪獣ヤゴス」など、出るわ、出るわ。どれもすごくがんばったけれど、ぜんぶ忘れられてしまった新怪獣シリーズです。ゴジラがひとり勝ちの現在だから、みんなに見てほしいと思うんです。

館長室のそばにある「大マンガラクタ館」は、そんな残念なマンガに光を当てるコーナーです。いま展示されている学年雑誌「カシコイ」の原画も、ぜひ見てくださいね。マンガは子供向けの絵本から発達したんだ、ということが、よ~くわかりますよ。

じゃ、私はこのへんで。地下に戻って宝を掘りだしますからね。バイバイ。

(イラスト:べの字)


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