文化庁委嘱事業 文化・芸術分野における海外との共同創作活動を通じたの推進 国際交流「日中マンガ文化交流フォーラム」短編マンガ共同制作ワークショップ

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第3日目(2月7日)

3日目は京都精華大学助教授・にしの公平先生による「オンラインマンガ」の講義。オンラインマンガとは、インターネットのサイトで見ることができるマンガのこと。先生は、インターネットの週刊マンガサイト「花マルウィーク」を運営し、数々のデジタルマンガ賞を受賞するなど、オンラインマンガ家として最先端を歩んでいる現役作家である。

「これから、より多くの人に自分の作品を見てもらおうとするならインターネットです。」とにしの先生。実際、講義中に日本・中国両国の学生にアンケートを取ったところ、自宅にパソコンがあり、インターネットを利用する学生は8~9割。そのうち、オンラインマンガを読んだことのある学生がほとんどで、定期的に購読している人が、半数にも及んだ。

しかし、オンラインマンガは、プロが描いてもギャランティが発生していないのが現状。これでは将来、オンラインマンガ家を目指す若者たちや、この分野に進出したい若手マンガ家たちにとっては不安な状況だ。そこでオンラインマンガが商業として成り立ち、売れるためにどうしたらよいのか智恵を出し合い、考えよう、というのが講義の内容だ。

まずは日中両国のオンラインマンガは、どのような形状で、どのように読むのかなどについて紹介しあい、その上でビジネスの可能性を話し合った。教室内では日・中の学生から様々なアイディアが飛び交い、活気のある授業に。

「マンガの書き手として、ビジネスが関わってきている以上、ただマンガを描くだけでなくどうやったらプロとしてやっていけるのかを常に考えておく必要がある。」(にしの先生)。昨日の講義に続き、未来のマンガ家たちの胸に響いたにちがいない。


【オンラインマンガ班】

午後からは日・中の学生たちが2班に分かれてワークショップを開催。オンラインマンガ班は、にしの先生の指導でフラッシュを使ったオンラインマンガを作成する。ボタンをクリックすることでページをめくるように、次の画面が見ることのできる形式の作品を作る。今回は、面白かった作品に投票できるシステムを付け足すことにした。「少しずつでも(オンラインマンガの)現状を変える足がかりになれば」とにしの先生。

まずソフトの使い方などの解説の後、手本として先生の作品を見る。続いて、ストーリーマンガ(コマで分割されたある程度の長さを持ったマンガ)同様、絵コンテを作成。基本的には視察を含め、このフォーラムであった出来事をテーマにストーリーを考える。それから実際に作業がスタートする。

にしの先生は「個人の妄想や考え、カッコいいというものからストーリーを作り、沢山の人に読んでもらうという意味では、マンガが最小単位。自分たちがカッコいいと思う作品を作ってもらいたい。だから妄想を邪魔しないようにアドバイスをしています」。

どんなアイディアが飛び出すのだろう。 


【ストーリーマンガ班】

ストーリーマンガ班は上海電視大学の劉徳貴先生の指導で絵コンテを作成。
こちらもオンラインマンガ班同様、フォーラムであった出来事をテーマにマンガを作成することに。
「それぞれの個性やテーマを大切にして、例えば話と話をつなげるにはどうしたらいいかなど、イメージがさらに効果的に見えるようにアドバイスしています」と劉先生。

1回目の絵コンテで様々な指摘を受けた日本の男子学生。「こんな風に簡潔に面白くできる方法をアドバイスしてもらったのは初めて。すごいです」。

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