日中マンガ文化交流プログラム
1月25日(火):5日目
午前
5日目はミュージアム3階の研究室にて、国際マンガ研究センターの表智之研究員による「マンガミュージアムの特性と研究の概要」というテーマで講義が行われた。「鳥獣戯画」や月刊マンガ誌が豪華な付録を付けていた際のレプリカを用いながら、マンガの表現やメディアの歴史、マンガが社会の中での役割、マンガの構造についての解説が行われ、マンガミュージアムの学術的な研究領域の広さと深さが垣間見えるものでした。
「マンガ研究は誤解されがちであるが、マンガに描かれている内容を調べるものではない。マンガに描かれていない外側にある作り手のことやマンガがどのような目的で、どのような人に読まれているかなど社会の中での位置づけを調べていくものです。」と表研究員。参加者にとっては、このような研究が日本のマンガに厚みを生んでいることを気づかされる貴重な講義となった。
午後
午後からは午前と同じ会場で京都精華大学マンガ学部講師の小泉真理子先生による「日本のマンガとアニメーションはなぜ魅力的なのか?~ビジネスの視点から読み解く~」というテーマで講義が行われた。4日目の吉村先生が解説した日本のマンガ市場の「ワンコンテンツ・マルチユース」戦略の内容を掘り下げるかたちで、「鉄腕アトム」、「ポケットモンスター」というキャラクターを例に解説が行われた。また実際にキャラクター製品で大きな成功を収めているショウワノートの売上額など具体的に数字を示した。参加者からは「中国はまだマンガ市場が未発達な部分もあるし、日本とも状況が違う。これを一つの成功例として、学ぶことがたくさんある」と、意欲的な感想が聞けた。
「面白い作品が作られ、マンガがたくさん売れて、マーケットは大きくなるが、一方でこのようにマンガ市場において、ビジネスモデルが確立することで、マーケットが大きくなり、そこから多くの作品が生まれ、より面白い作品が生まれているのも事実です」と小泉先生。